■ロイヤルトルーン、プレストウィック、ターンベリー


スコットランドの玄関口グラスゴーはロンドンから空路で約1時間30分、人口60万人のスコットランド最大の都市ですが1960年代は100万人を超えていました。なんとなく寂れた感じがするのも英国病を長い間患っていた影響なのか、街の観光はそこそこにレンタカーをピックアップしていざリンクスへ。
西海岸には北からロイヤル・トゥルーン、プレストウィック、そしてターンベリーと名コースが軒を並べています。その言葉通りロイヤル・トゥルーンとプレストウィックは互いの9番、10番が川を挟んで隣接しており、川さえなければ同じクラブになっていたかも知れません。そのロイヤル・トゥルーンまではグラスゴーから車で1時間弱、日本からロンドン経由でグラスゴーに到着すると同日の夕方には同地にチェックインすることができます。

ロイヤル・トゥルーンには海側にオールドコースと陸側にポートランドコースがレイアウトされ、全英オープンのローテーションはオールドコース。前回の開催は2004年で日本ツアーでも活躍したトッド・ハミルトンがアーニー・エルスとのプレイオフを制し優勝、日本中を驚かせました。さてここでの目当てはもちろんオールドコースですが月・火・木限定の完全予約制、しかもハイシーズン(4月-9月)はこの2つのコースでのラウンドがセットの抱き合わせ商品となります。ハンディ制限もきつく男性20、女性30が上限、クラブハウスへのドレスコードも厳しく、いかにも保守的なメンバーシップクラブが渋々ビジターを受け入れているような印象ですが、世界一のPAR3と評される8番123ヤード「Postage Stamp」を体験できるのならその煩わしさも受け入れなければなりません。宿泊はクラブハウス脇に建つ「Marine Hotel」がお薦め、眼下に1番、18番のフェアウェイの緑、その向こうには夕日に光る海原が広がりリンクスに来たことを実感させてくれます。 沈む夕日を眺めながら地元のモルツで乾杯、これもリンクスの楽しみの一つです。


プレストウィックは1860年の第一回大会から12回まで連続で全英オープンが開催された由緒正しいリンクス。その後も1925年まで24回も全英オープンがここで開催されましたが、この年を最後に全英の舞台から姿を消しました。ここを訪れるとなんとなく古戦場のような寂寥感があるのもこのような歴史があるから、いやいや本当に荒涼としているのです。重厚なクラブハウスの隣は線路と古びた駅舎、後ろにはB&Bが数軒、街にはパブがちらほら、ここに何万人のギャラリーが押し寄せていた当時の面影はありません。 それでもコースは一級品、リンクスの醍醐味を十分に堪能させてくれます。

名物ホールの1番「RAILWAY」は文字通り線路に沿ってレイアウトされています。右側に線路が走り左は深いラフ、右に行けばOB,左に行けばロスト、1番からこのプレッシャーは厳しい。おまけにティグランドの右にはプレストウィック駅のプラットフォーム、列車を待つ人がこちらを見つめています。伝統の重み、初めてのコース、見つめるギャラリー(?)、その中での最初のティショットは誰でも緊張してコチコチ、案の定ボールは哀れにも線路の中に消えていきました。キャディに列車に当たることはないのか、と訪ねると「当たるとフェアウェイに戻ってくる、それを狙え」とニヤニヤ、嫌味なキャディにあたったと残念がってもここはキャディがいないと全くスコアがまとまりません。何せ全くのブライドホールが2つ、ティからグリーンが見えない為キャディの指す方向を信じて打つしかありません。グリーン脇には大きな鐘がありホールアウトすると鐘を鳴らし後ろの組にグリーンが空いたこと知らせる仕組み、リンクスにしてはかなり凹凸があり、加えて長いラフ、硬いアンジュレーションのあるフェアウェイ、早いグリーン、そして海風、さすが全英開催コースだけあって楽をさせてくれません。1番の緊張が18番まで続き、終わったときはくたくた、体を引きずってクラブハウス裏のB&Bに転がり込み熱いシャワーを。でもここの小さなレストランでスコットランドの郷土料理「ハギス」とモルトを戴くとまた元気が出るのですね。

その後は高級リゾート「ターンベリー」に向かいます。

ロイヤル・トゥルーン、プレストウィックを後に海岸沿いを南へ走ること30分、海を見下ろす小高い丘の上にオレンジの屋根をもつ白亜の建物が見えてきます。それが100年を越す伝統を誇る高級リゾート「ターンベリー」。その長い歴史の中には、世界大戦中に接収されゴルフコースが滑走路となったり、バブル期には日系企業に買収された事もありましたが、ホテルは超然としてクラシカルな雰囲気を今に伝えています。真偽はともかく日本の名門「川奈ホテル」はこのホテルをモチーフにして開業したとか、建物の雰囲気も海を見下ろす感じも何となく似ています。ここターンベリーには全英オープン開催コースのアイルサとPar72のキンタイヤがあり、アイルサは原則としてメンバーかホテルゲストのみがラウンド可能、かなり値段が張りますが英国流ホスピタリティ溢れるホテルでの宿泊も最高の旅の思い出になるはずです。さてアイリスコースについて、全英オープン開催コースの中でもここの素晴らしさはズバリ「景観」。遠くにお椀をひっくり返したようなアイルサ島がぽっかりと浮かび、白亜の灯台の崖下には荒い波と波頭が飛び散り、波のようにうねるフェアウェイが陰影をつくり、ラフの長い草木が海風を受けてさざめく、ラウンド中に目に映る風景はため息が出るほど美しい。この美しさに魅了されて散々なスコアだったのは私だけではありません。前回のターンベリー(2009年)ではタイガーも石川遼も予選落ち、目が悪くなったワトソンがプレイオフだったのも理由があったのです。 冗談はさておきスコットランド西海岸編の番外をご紹介。天気がいいとターンベリーからも見える対岸にあるキンタイヤ半島、その半島の先端に幻のリンクスと呼ばれる「マクリハニッシュ」があります。余りにも便が悪く全英の舞台になったことはありませんが、オールド・トム・モリス設計の風格と伝統では他の全英開催コースに勝るとも劣らず。特に圧巻は1番、満潮時にはダイナミックな海越えとなり、干潮時には巨大なバンカーに大変身。リンクスマニア垂涎のコースですが西海岸からフェリーを乗り継ぐこと2回、長細いキンタイヤ半島をひた走り8時間後に到着です。ここでのラウンドの為だけに更に3泊は必要、でもその価値は十分過ぎるほどあるでしょう。 (グラスゴーからキャンベルタウンまでセスナで行く方法もありますが・・・)





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